680913

 

股関節の4つの特徴

 

ランニングにおいて、ピッチやスライドの身体操作における最重要関節は股関節です。

股関節は、ランニングだけでなくあらゆるスポーツ・身体運動にとって、人体に存在する関節の中でもっとも重要視すべき関節です。

 

まずは、その重要関節である股関節の特徴を理解しましょう。

 

 

① 股関節は最大の関節
股関節は人体最大の関節構造です。単純に大きさだけということではなく、股関節の役割は
周辺の靭帯や筋肉などの軟部組織と共に協調しあって働くという特性を持っています。

 

② 三軸構造
膝関節は蝶番構造という、ドアの蝶番のような動きをする二軸関節です(他動的にわずかに三次元的な運動もする)。
三軸構造である関節は他に肩関節(肩甲上腕関節)もありますが、関節としては股関節の方がかなり複雑な構造です。

 

③ 支持性と三軸可動性
股関節は、三次元の運動である三軸運動を発揮しつつも、人体の重量を支えるという大変優れた機能を持っています。
このことは、あらゆる角度からの負荷に耐えられることを意味しており、一定の方向からの負荷には脆弱な二軸性の
関節とはその強度には大きな差があります。

 

④最も”意識しにくい”関節
一般的に意識しやすい部位というのは、視覚・触覚で捉えられるところです。
股関節は周囲を分厚い組織に囲まれ、身体の深部に位置しているため、直接見ることも触れることも困難です。 その為、人体の中では非常に意識化しにくい部位となっています。
最も強力で重要な関節であるにも関わらず、最も意識化しにくい(=繊細に感じにくい・動かし にくい)という問題を抱えているのが、股関節なのです。

 

 

股関節が固まりやすい理由とは?

 

股関節の周りにはたくさんの筋肉が存在し、全て重要ではありますが、優位にしてしまうと股関節が固まる傾向になってしまう筋肉も存在します。

 

スポーツのトレーニングの中では、それらの筋の走行や起始停止の位置関係によって、ブレーキ筋である大腿四頭筋や、大腿筋膜張筋、中臀筋が優位になってしまわないように注意が必要です。

 

これらの筋肉は中臀筋との筋連結を伝って、連動して股関節を固めてしまいます。

股関節を最大限機能させるという観点から考えると、チューブを膝に巻いて抵抗がかかるようにして脚を広げるトレーニングや、大腿四頭筋が優位に働くようなスクワット、レッグエクステンションはパフォーマンスにおいてネガティブな作用を及ぼすリスクを伴います。
また、股関節周囲筋が固まりやすいのは3つの理由があげられます。

 

①日常的に伸縮が不足
筋肉というのは、常に広範囲に伸縮させていれば、なか なか固まることはありません。
しかし伸縮をあまり行わない、または伸縮が狭い範囲の状態で力を発揮し続けている筋肉は、固まってくる傾向にあります。

 

②支持点の問題
股関節周囲筋は、体重・体幹の支持に使うという性質があるので、動きの伴わない状態での筋出力発揮の時間が長くなってしまいます。上肢の筋肉などはは、体重を支える場面よりも動かすために使うことの方が多いので、使用される可動域とともに筋肉の伸縮範囲も大きくなり、股関節に反して固まる傾向は低減されます。

 

③アイソメトリックの作用
体重支持のために筋肉を使うとどうなるかというと、例えば静止立位状態であれば、関節の動きはほぼない状態であっても股関節周りの筋肉はアイソメトリックに働き続けています。

また、筋肉が付いている位置関係から、中臀筋などは動きの中での伸縮の度合いが特に少なく、アイソメトリック的な傾向が強いと言えます。

大臀筋などは、股関節を深く屈曲した際には大きく伸張されますが、通常の歩行程度の可動範囲ではそれほど大きい伸縮の比率にはならず、アイソメトリックに近い状態となります。

股関節の深部に位置する梨状筋・ 内閉鎖筋や上下の双子筋なども、やはりその付着部の関係上、固まりやすい筋肉群です。

 

 

股関節とパフォーマンスの関係性

 

股関節の深層には外旋六筋(梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋)と呼ばれるインナーマッスルがあります。

このインナーマッスル群が固まり機能低下を起こすことは、ランニングにおいて非常に大きな問題です。

 

一般的には、筋肉が固まると可動域や柔軟性が低下すると考えられていますが、インナーマッスルに関してはそれに加えてさらに弊害があります。

それは、関節間力(=骨を伝わる力)をうまく活用できなくなることです。

 

例えばランニングする際、地面を蹴ってその反力を身体が受け取ることで前に進むことができます。

つまり、この力は、地面を蹴る力そのものではなく、反力の大きさによって決定するのです。

 

蹴った力の反力を、全くロスなく受け取ることがダッシュ力向上の鍵の一つなのです。
反力を受ける際、力の伝導は骨を伝う力を利用することが最も効率的です。

 

棒状のものを地面に叩きつけた際、それがぐにゃぐにゃしていれば返って来る衝撃は少なく、
これは 反力が逃げて力の伝達にロスがある状態です。

 

地面に力を加え、その反力を受ける際に「骨を伝わる力である関節間力」を活用できるかが高いパフォーマンスを実現できるかのカギになります。

 

 

 

股関節のインナーマッスルは、その求心性の機能(骨と骨をしっかり繋げる)により、股関節部分での関節間力を高める働きがあります。

 

股関節のインナーマッスルが固まって十分に機能しなくなると、この反力を受ける際に力が逃げてしまい、身体重心がある体幹部分で受けられる反力が低下し、その結果、強く蹴っているにも関わらず、スピードが出ないという現象が起こるのです。

 

そして二次的には、蹴った力からの反力をなんとか得ようとすることで、不要な筋肉を緊張させるという現象に繋がります。

 

こういった悪循環が、腰や膝、足首の怪我の土台要因として存在することは、物理学的観点からも、解剖学的観点からも、そして臨床経験上からも間違いなく言えることです。

 

 

 

次回は、股関節の機能を向上させるための3つのポイントのお話をします。

 

 

JRTA 三浦

 

最新のセミナー情報や、トレーニングやコンディショニング技術まで、メルマガ限定情報などがこちらで聴けます。
JRTAのことをもっと詳しく知りたい方や、セミナーやランニングトレーナーに興味のある方は、ご購読は無料となりますので、ぜひご登録下さい。

 

 メールマガジンへの登録はこちら

 講習会日程はこちら